理学療法士がパーキンソン病リハビリについて解説!日常生活に取り入れられるバランス機能維持の工夫

パーキンソン病の方を対象に少人数制の運動クラスやマンツーマンの集中運動プログラムを行っている、メディカルフィットネス にこっとです。「楽しく」をモットーに、お一人お一人に寄り添って様々なプログラムをご用意しております。

こちらでは、日常生活に取り入れられるバランス機能維持の工夫にフォーカスして、具体的な方法をご紹介します。まずは、パーキンソン病におけるバランス機能の重要性とパーキンソン病によるバランス機能への影響について解説します。

パーキンソン病におけるバランス機能の重要性

公園でシニア女性と話す若い女性

パーキンソン病の方にとって、バランス機能を維持することは非常に重要です。バランス機能は日常生活のあらゆる場面で必要とされ、その低下は生活の質に大きな影響を及ぼします。バランス機能が重要である理由は、主に以下の3点です。

  • 転倒リスクの軽減
  • 日常生活動作(ADL)の自立度維持
  • 社会参加の促進

パーキンソン病の進行に伴い、姿勢反射障害や筋力低下などが起こり、バランス機能が低下していきます。これにより、立位保持や歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まります。転倒は骨折などの二次的な障害を引き起こす可能性があるため、バランス機能の維持・改善はパーキンソン病の方の安全を守る上で非常に重要です。

また、バランス機能は日常生活動作の多くに関わっています。例えば、着替え・入浴・調理・掃除など。これらの日常生活動作を安全に行うためには、適切なバランス能力が必要です。バランス機能を維持することで、日常生活の自立度を保つことができ、介護負担の軽減にもつながります。

さらに、バランス機能の維持は社会参加の促進にも寄与します。安定した歩行や立位保持ができることで、外出や趣味活動への参加がしやすくなり、生活の質の向上につながります。

このように、パーキンソン病の方にとって、バランス機能の維持は安全で自立した生活を送るために非常に重要な要素となっています。そのため、日々のリハビリテーションや運動を通じて、バランス機能の維持・改善に取り組むことが大切です。

パーキンソン病によるバランス機能への影響

歩行補助器を使用する高齢者サポート

パーキンソン病は、バランス機能に大きな影響を及ぼす神経変性疾患です。この疾患では、以下のような症状がバランス機能を低下させる要因となります。

◆ 姿勢反射障害

  • 姿勢の急激な変化に対する反応が遅れます。
  • 転倒のリスクが高まります。

◆ 固縮(筋肉のこわばり)

  • 体の柔軟性が失われ、スムーズな動きが困難になります。
  • バランスを取るための素早い姿勢調整が難しくなります。

◆ 振戦(手足の震え)

  • 特に立位や歩行時のバランスに影響を与えます。
  • 不随意な動きにより、重心のコントロールが難しくなります。

◆ 無動(動作の緩慢化)

  • 動作開始が遅れ、バランスを崩した際の反応が遅くなります。
  • 歩行時の歩幅が小さくなり、安定性が低下します。

これらの症状に加えて、以下の要因もバランス機能に影響を与えます。

  • 筋力低下:全身の筋力が低下し、特に下肢筋力の低下がバランスに影響します。
  • 姿勢異常:前傾姿勢や側屈姿勢などの姿勢変化が、重心位置を変えます。
  • 認知機能低下:注意力や判断力の低下により、転倒リスクが高まります。

パーキンソン病では、これらの要因が複合的に作用し、バランス機能の低下を引き起こします。そのため、早期からのリハビリテーションや適切な治療が重要となります。

日常生活に取り入れられるバランス機能維持の工夫

◆ 自宅でできる簡単なバランス運動

パーキンソン病の方でも自宅で安全に行える、簡単なバランス運動をいくつかご紹介します。これらの運動は、日常生活の中で無理なく取り入れることができます。

片足立ち

  • 壁や椅子の背もたれに手をつき、安全を確保します。
  • 片足を少し上げて、できるだけ長く保持します。
  • 左右の足で交互に行い、1日3回程度実施します。

つま先立ち

  • 両手で壁や椅子をつかみ、ゆっくりとかかとを上げます。
  • 5秒間保持し、ゆっくり元に戻します。
  • 10回を1セットとし、1日2~3セット行います。

足踏み運動

  • その場で足踏みをします。
  • 膝をしっかり上げることと、腕をなるべく大きく振ることを意識しましょう。
  • 30秒間続けることを目標に、徐々に時間を延ばしていきます。

座位でのバランス運動

  • 椅子に浅く腰掛け、両足を少し浮かせます。
  • バランスを取りながら10秒間保持します。
  • 5回を1セットとし、1日2セット行います。

これらの運動を行う際は、以下の点に注意しましょう。

  • 無理をせず、体調に合わせて実施してください。
  • 安全な環境で行い、必要に応じて介助者のサポートを受けましょう。
  • 運動前後のストレッチも忘れずに行いましょう。
  • 徐々に回数や時間を増やしていくことで、効果的にバランス機能を維持・向上できます。

継続的に取り組むことで、日常生活での転倒リスクを軽減し、より安定した動作につながります。ご自身のペースで、楽しみながら実践してみてください。

◆ 生活環境の調整とサポート用具の活用

パーキンソン病の方の日常生活をサポートするには、生活環境の調整とサポート用具の活用が重要です。症状の進行度に合わせて、以下のような工夫を取り入れましょう。

トイレの環境整備

  • ひじ掛け付きトイレ手すりの設置:体をもたれかけられるため、安心して動作ができます。
  • 引き戸への変更:方向転換が苦手な方でも使いやすくなります。
  • 段差の解消:すり足になりがちなため、転倒リスクを軽減できます。

浴室の安全対策

  • バスボードや浴槽台の設置:浴槽への出入りが安全に行えます。
  • すべり止めマットの使用:足元のすべり対策として有効です。
  • シャワーチェアの活用:特に回転タイプは方向転換が苦手な方に適しています。

リビングでの工夫

・面タイプの手すりをソファ前に設置:姿勢保持や立ち上がりをサポートします。

玄関の調整

  • 段差の設置:スロープよりも一歩目が出しやすくなります。
  • 手すりの設置:転倒防止に役立ちます。

これらの環境調整やサポート用具の活用により、パーキンソン病の方の自立度を高め、介護者の負担も軽減できます。ただし、個々の症状や進行度に合わせた対応が必要なため、理学療法士や作業療法士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

パーキンソン病のリハビリに役立つ運動スケジュールの立て方

パーキンソン病のリハビリでは、無理のない運動スケジュールを立てることが重要です。最適なプランを作るためには、症状や体調に応じた運動の種類や頻度を考慮しましょう。

例えば、週2~3回、1回あたり20~30分程度の軽い運動から始めるのがおすすめです。まとまった時間が取れない方は、5分の運動を毎日取り入れるといった方法も習慣化につながります。理学療法士が提案する運動例として、ストレッチやバランス運動、呼吸エクササイズが含まれます。

また、日常生活の中で体を動かす時間を意識的に増やすこともポイントです。運動は、朝の時間帯や比較的体調が良いと感じるタイミングに行うと続けやすくなります。

さらに、進捗を記録し、必要に応じて専門家に相談することで、モチベーションを保ちつつ、効果的なリハビリを行えます。

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理学療法でパーキンソン病リハビリをメディカルフィットネス にこっと

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